007「ゴールドフィンガー」~小説版


概要

小説「ゴールドフィンガー」は1959年にイアンフレミングの007シリーズの第七作目として世に登場した

同映画はシリーズ中でもかなりの人気を誇り、内容もかなり原作に忠実である

アストンマーチンDB3という車も登場し、これが後々ボンドカーとして世に広まるのである

このゴールドフィンガーという名前はフレミング自身の隣人の名前を拝借したらしいが

いったいどんなあくの強い隣人がいたのか気になるところである

 

登場人物

オーリック・ゴールドフィンガー

映画でも人気キャラのこのゴールドフィンガーであるが小説中でも金をこよなく愛し

カードでのいかさまやゴルフのいかさまも健在である

金をこよなく愛し、完璧な大犯罪は芸術的でもあるという切れ者である

米国屈指の金塊貯蔵庫であるフォートノックス襲撃を目論み

若干、手口は異なるがこのゴールドフィンガー自身もソ連の手下という設定になっている

 

オッド・ジョブ

鋼の肉体を持つ朝鮮人のゴールドフィンガーの用心棒だ

空手の達人という設定になっており

ただでさえ最強キャラな上、鋼鉄入りの山高帽という奇想天外な武器を持つ

雇い主のゴールドフィンガーにはかなり忠実なのである

 

ジュニアス・デュポン

今回たまたまジェームズ・ボンドに出会い

ゴールドフィンガーがカードでいかさまをしていることを相談する

ボンドはあまり記憶が無かったようだが、実はカジノロワイヤルの大勝負で同席していたという

 

ジル・マスタートン

ゴールドフィンガーの手伝いをしていたが、それは結局金のため

突如現れたボンドに興味を示したため、結末は映画と同じく追い詰められてしまうのである

 

ティリー・マスタートン

ゴールドフィンガーのロールスロイスを尾行中にボンドが遭遇した女性である

ティリー・ソームズという偽名でボンドと遭遇するが実はジルの妹なのだ

当初、これは仕事の邪魔になると思い策を講じるボンドであるが

これが最後まで運命を共にしてしてしまうのが007ワールドなのだ

 

ジャック・ストラップ

ゴールドフィンガーが天下の大犯罪を成功させるため、米国屈指のマフィア連中を集めた

そのうちの一人のこの男は「ダイヤモンドは永遠に」にも登場し

ラスベガスのカジノを牛耳り、ダイヤモンドの密輸を主な凌ぎにしているのである

 

プッシー・ガロア

男性顔負けのハーレム女ギャング団のボスであるが

なんとレズの組織でもあり、このガロアは憧れの的になっているようだ

ボンドがお堅く見えたティリー・マスタートンも、彼女と出会い態度を変えたことにより

ティリーも同じくその道の女性であることに気付いたのである

映画版ではわかりずらい設定ではあるが

イアンフレミングはこのレズビアンの持つ独自の美しさを称賛しているのである

 

フェリックス・ライター

元CIAの工作員であったが「死ぬのは奴らだ」で鮫に食いつかれ義足、義手の生活となる

だがデスクワークは性に合わないらしくピンカートン探偵社で現場最前線で活躍するのである

 

ストーリー(ネタバレ有り)

ニューヨークに向かう飛行場でばったり出くわした男はボンドにこう言った

「相談があるんですが、もちろん報酬ははずみます」

この男はジュニアス・デュポンといい

以前カジノロワイヤルでボンドが大博打を打ったとき同席していたという

どうやら彼はゴールドフィンガーという男とカナスタというカードゲームをしたのだが

いかさまを疑うくらい勝利を掴めず、ゴールドフィンガーに大金を奪われたようである

ボンドを一目見た時から只者ではないと読んだデュポン氏はこの偶然も運命であり

ボンドにゴールドフィンガーのいかさまの手口を明かして欲しいと願ったのである

この話に直観で面白さを感じたボンドはロンドンに帰る時間までならという条件で承諾したのである

 

ホテルに到着するやゴールドフィンガーとデュポン氏のカード対決を観戦するも

カード等にも特に細工は無さそうである

だが途中ボンドはあることに気付き、滞在する部屋の真上にあるというゴールドフィンガーの部屋に侵入した

そこで窓の外のカードゲームの模様とそれを部屋からのぞき見する女を見事に一枚の写真に収めたのである

ジル・マスタートンというこの女性はゴールドフィンガーのグルであり

そこから見えたデュポン氏のカードをゴールドフィンガーに無線で連絡していたのである

この一枚の写真が証拠となりゴールドフィンガーは巻き上げた金を返し

さらに手数料としてもボンドに大金を払うことになったが、全然動じている様子も無かった

警察等の国家機関に通報されるのを考えれば、危機は撒逃れたのである

 

ロンドンに戻ったボンドは偶然にもゴールドフィンガーの話をMから聞くことになった

英国の金の保有量が減少しており、海外への密輸が原因であるというのである

そして、その犯人として今最も疑われているのがこのゴールドフィンガーであるというのだ

とある情報から、その金が東側陣営から発見されており

ゴールドフィンガー自身がソ連の資金調達係になっているという可能性もあるのだ

 

ボンドは約束したゴルフの約束を口実にうまく内部に潜入しようとしていた

前回のいかさまの件でボンドに対し怒りよりも

有能な人材として利用したいという気持ちがゴールドフィンガーから読み取れたからである

天性のものか職業柄もあるのかボンドは初対面でその人物の特徴を掴むことにかけてピカイチなのである

 

アストンマーチンDB3でゴルフ場に向かい、早速賭けゴルフが始まった

勝負はほぼ五分で進んでいくがボンドのショット中に気をそらすことをしたり

バンカーショットで砂をいじったりとゴールドフィンガーは姑息な手を使ってくる

しまいには球が見つからずキャディーに別の球を用意させるという反則技まで使うが

ボンドはそのいかさまを最終ホールで逆手に取りゴールドフィンガーに反則負けを認めさせたのである

 

ボンドはゴールドフィンガーに与えた自分の印象について考えていると

向こうから連絡がきたのだ

今晩夕食でも家でどうだねといった内容である

ゴールドフィンガーはやはり自分のことを気に入ったのだと作戦は順調である

 

邸宅に向かうとゴールドフィンガーは出かけると言い出し、ボンドは取り残されてしまった

これをチャンスに内部の捜索をするが逆にその行動をテープに収められてしまうボンド

これを猫のせいにして言い逃れようとするが、その猫は殺され

オッド・ジョブという強靭な朝鮮人の壮絶なパフォーマンスを見せつけられてしまった

用事に出かけると言ったのは完全にゴールドフィンガーの罠だったのだ

その日の彼の態度はボンドを疑いつつも同じ切れ者の悪党として認めている節もあった

 

空港で上手くゴールドフィンガーの愛車シルバーゴーストに

ホーマーという発信機を取り付けたボンドはそれを頼りに尾行することになった

途中同じような走りをするトライアンフ車を運転する女性を見つけ

これは仕事に支障をきたすと読んだボンドは事故を装いトライアンフを故障させた

運転手はティリー・ソームズと名乗り

行かなくてはならない場所があるためボンドのDB3に乗り込むことになったのである

 

途中、ソームズを降ろし尾行を続けたボンドは

シルバーゴーストがジュネーブのオーリック社に到着したのを確認した

そして入手した情報からシルバーゴースト自体が金のパーツから成っており

このオーリック社で飛行機の椅子に替わりインドでその椅子を回収するという金の密輸方が見えてきたのだ

だがボンドはティリー・ソームズと一緒にゴールドフィンガーに捕らわれてしまったのである

ソームズという名前は偽名であり本名をマスタートンという彼女は

ジル・マスタートンの妹で姉が裏切りで殺された件で敵を取りにきたところであった

 

完全に拘束され拷問にあい意識を失ったボンドはアメリカで目覚めた

だがボンドとティリーはまだゴールドフィンガーに身柄は拘束され

殺されなかったのは次に予定されているという世紀の大犯罪に

利用できるとゴールドフィンガーが考えたからであった

なんとそれは金の最大の保管庫であるフォートノックスを強盗するというものであった

 

まずゴールドフィンガーはアメリカ中のマフィアのボスを集めて彼の計画を話した

軍隊までも有するフォートノックスであるが

そこの水源に薬を混入し、フォートノックスの人々には2~3日眠ってもらうというものであった

計画は緻密で計算されつくしており、どのマフィアもこれに賛成したが

一人反対したスプリンガーという男は帰りの階段で足をすべらして死んでしまった

意地でもこの計画は外部には漏らせないのである

そして最後にゴールドフィンガーはボンドにだけ本当のことを打ち明けた

水道に盛る薬は神経毒であり、これからフォートノックスの人間は全員死んでしまうのである

そしてゴールドフィンガーはソ連の巡洋艦で金塊もろとも高跳びし

アメリカで大勢死のうが関係ないということであった

 

作戦は決行されフォートノックスの保管庫に向かう一行

周りは倒れた人々や衝突し壊れた車以外は見当たらない

だがその保管庫寸前で花火信号が鳴り響き、倒れた兵隊が起き上がり向かってきたのである

そしてその兵隊の中には見覚えのあるフェリックス・ライターがいたのである

「フェリックス・ライターへ」と彼の居場所を書いた手紙を懸賞金付きで

ボンドが空港のトイレに仕込んでおいたのが功を成したのである

水道水に毒を盛る担当は捕まり、水は正常であり人々は倒れた芝居を打ったのであった

現場は一気に大混乱になり、逃げようとしたティリーはオッド・ジョブに殺されてしまった

ゴールドフィンガーの計画はこれで失敗に終わったが、そのまま機関車で逃げていった

 

アメリカの大部分の金塊を強奪する「グランドスラム」計画は阻止することが出来たが

ゴールドフィンガーやプッシー・ガロアなどのギャングは逃し、ボンドは釈然としない気持であった

だがロンドンに帰ることは決定しており、空港に向かった

空港で予防接種を受けることになるが、直後意識が無くなり

目が覚めると飛行機の中で、見覚えのあるゴールドフィンガーの顔があったのである

完全にゴールドフィンガー一味にまた捕らえられてしまったのである

 

プッシー・ガロアの持ってきた飲み物のコースターにはボンドに寝返る予定であることが書かれており

ボンドは最後のチャンスに賭けることにした

飛行機の窓を壊し、気圧の関係で窓際にいたオッド・ジョブは外に振り落とされた

そしてゴールドフィンガーとの格闘になり、ボンドはこれを締め上げることで勝利したのである

あとは落下している飛行機を無事に着陸させることが、なによりも課題である

ボンドは海上気象観測船と連絡を取り、海面に機体を着陸を成功させた

 

気付くとボンドとプッシー・ガロアは気象観測船チャーリー号におり

ボンドは彼女になぜ寝返ろうと思ったのかを聞いたのである

どうやら彼女はボンドに本気で惚れこんでしまったようであり

今まで同性愛者であったのも本物の男に会うことが無かったからだと言うのである

こうしてボンドによる同性愛治療の実演が始まったのである

 

 

 

007/ゴールドフィンガー kindle版です 書籍は現在廃刊となっております
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