007「サンダーボール作戦」~小説版


概要

007「サンダーボール作戦」は1961年にシリーズ9作目として誕生した

スメルシュに代わるジェームズ・ボンドの天敵であるスペクターが初めて登場することでも有名である

本作はNo.1のブロフェルドよりもNo.2のラルゴがメインに登場しており

核兵器による世界を相手にした恐喝の話になっている

そしてこのスペクターのアイディアは後々訴訟にまで発展していく曰くつきの一作なのである

 

登場人物

エルンスト・スタヴロ・ブロフェルド

スペクター創立者であり映画でも4つのバージョンで顔を出す

映画だとそんなことないが、イアンフレミングのブロフェルドは頭も切れるが体格もかなり良い感じである

ポーランド人の父とギリシャ人の母を持ち、情報に若くして目をつけ

戦時中、成り上がっていったのである

用心のため構成員のNoは一か月ごとに変わるらしく

作品中ではラルゴがNo.1、ブロフェルドがNo.2になっている

 

エミリオ・ラルゴ

映画中では黒い眼帯がトレードマークであるが、小説では特に眼帯の記述は無い

だがその他の容姿はかなり近いものがある

ディスコ・ヴォランテ号というヨットでナッソーに登場し、表向きは宝さがしに来た金持ちを装っている

ドミノという愛人を囲っている

 

リッペ伯爵

シュラブランズという保養所でボンドと出くわすが、隠れてボンドに危害を加えてくる

最終的にボンドも仕返しをし、大火傷を負う伯爵であるが

腕時計の下に隠された入れ墨から、どうやら彼は中国の赤雷党のメンバーであるようだ

 

ドミノ・ヴィタリ

イタリアとオーストリアの血を併せ持つ自称女優である

右足と左足の長さが違うというが、外見は美しく華やかである

ラルゴの姪という世間体だが、実態は情婦であるようだ

ヴィタリという名前も演劇のための名前であり、本名はまた別にあるようだ

 

ジュゼッペ・ペタッキ

イタリアで戦時中戦闘機に乗っていたが、見切りをつけ連合国側に降伏する

戦後もイタリア空軍に戻り、NATOの一員になったところスペクターに目をつけられ

核兵器搭載のヴィンディケイター略奪作戦に加担することになる

彼はNATOの立会人として英国パイロットに紛れて、ヴィンディケイターに乗り込むことになった

 

 

ストーリー(ネタバレ有り)

007の健康診断に目を通したMは

自然療法を売りとするシュラブランズという保養所に行くことを薦めた

といってもほぼ任務に近い強制と言う感じであった

Mもこの施設に入所し、完全に感化されてしまったようである

 

所内でリッペ伯爵という男に会うが、ボンドの健康器具のパワーを最大にしたりして

なにやら殺意すら感じるのである

さらに腕時計の下に隠された入れ墨は中国の赤雷党のものであり、穏やかな感じではない

所内で日に日に体調が良くなるのを実感するボンドであったが

最終的にこのリッペ伯爵にお礼参りで、器具をいじり大火傷を負わすことに成功したのである

 

一方、フランスにあるFIRCO(しいたげられたものの抵抗のための国際友の会)という場所で

とある会議が開かれていた

議長はエルンスト・スタヴロ・ブロフェルドといい

組織の方針に裏切る者がその場で消されてしまうという緊張感の中、会議は進行するのであった

そして次に予定されているビジネスはオメガ計画と呼ばれ、核兵器を強奪し

世界を恐喝するという恐るべきものであった

計画はすでに進行しており、No.1であるエミリオ・ラルゴが指揮権を持っているという内容であった

 

シュラブランズを出てすっかり毒気を失ったジェームズ・ボンドはMに呼び出されていた

かなり緊急事態な様子である

英国機ヴィンディケイターという核兵器二基搭載した空軍機が行方不明になり

スペクターと名乗る組織が犯行を声明し、一億ポンド相当の金塊を要求してきたのである

これに応じない場合、大都市での核爆発もやむを得ないという内容であった

そして奪われた核の識別番号とスペクターのいう番号は見事に一致するのであった

全世界これに対してもう動いており、サンダーボール作戦と名付けられた

Mはバハマ諸島が怪しいようで、ボンドを金持ちの青年に見立ててバハマに向かわせるのであった

 

実際ジュゼッペ・ペタッキというNATOの立会人はスペクターの息がかかっており

バハマ沖の海上にヴィンディケイター号は降り立ったが、ペタッキはそこで証拠隠滅で殺されてしまい

肝心の核はドッグ島の海底の岩の裂け目に隠され、スペクターの手に渡ってしまった

 

その帰り道、ベントレーを運転するボンドを尾行するフォルクスワーゲンがあった

それはスペクターでGという名で活動するリッペ伯爵であった

だがボンドに拳銃を突き付けた瞬間、フォルクスワーゲン諸共爆破してしまった

一台のトライアンフが走りすぎ、手りゅう弾を投げつけたのである

Gはボンドにやられて任務が失敗したことにより、No.6に命を奪われたのである

 

 

ナッソーに到着したボンドはCIAのラーキンという男の到着を待ったが

ボンドの前に現れたのは仕事仲間であるフェリックス・ライターであった

二人がまずターゲットに絞ったのは豪華水中翼船で宝さがしに来ているエミリオ・ラルゴという男であった

ライターはラーキンという弁護士になりすまし

ボンドはラルゴが現在住んでいるパルメイラ荘を近々借りたいという名目で

ラルゴの所有する翼船ディスコ・ヴォランテ号に向かい、彼と話をすることに成功したのである

フェリックス・ライターはカメラと腕時計に見せかけたガイガーカウンターという放射能測定装置を持ち込んだが

ディスコ・ヴォランテ号の内部ではこれといった反応は無かった

船内に核兵器は無かったようだが、二人は長年の勘からラルゴが怪しいという結論に至ったのである

 

ラルゴとその姪のドミノ・ヴィタリが参加するカジノにボンドは向かい

シュマン・ド・フェールというカードゲームでラルゴと対決することになった

これに勝利を収めたボンドはドミノと食事をすることになった

彼女は世間体でラルゴの姪でということになっているが、実はラルゴの愛人であり

ヴィンディケイター号の乗組員の一人であるジュゼッペ・ペタッキの実の妹であることが判明したのである

 

フェリックス・ライターはラルゴの宝さがしの一味に見覚えのある顔があり

調べるとエミール・トロートという名前であったが、実は東ドイツから亡命した物理学者コッチェであると判明した

決定的証拠ではないが、宝さがしに核の知識を有する物理学がいるのもおかしな話である

また奪われた戦闘機の乗員の妹がラルゴの愛人であるのも偶然というには出来すぎである

 

ボンドとライターはヴィンディケイター号を探すため、小型飛行機で近海を捜索することになった

たまたま鮫が泳ぐ姿を見て何かひらめいたボンドは高度を下げるよう指示した

するとそこには海底に見せかけた防水布で何か隠されているようであった

鮫はまるでなにか獲物を求めて、その防水布のほうに向かっているようにボンドは見えたのだ

防水布の中に入るとやはりヴィンディケイター号があり、二基搭載されたはずの核は無かったものの

証拠写真を収め、ジュゼッペ・ペタッキの遺品を掴んでボンドは海上へと浮上した

 

ドミノと出会ったボンドは遺品である金時計と本人を証明する認識票を出し

兄がヴィンディケイター号を略奪したが、口封じでラルゴ一味に殺されたことと

自分がその件でロンドンから派遣されたことまで伝えて、彼女に捜査の協力を求めたのである

兄を愛し、ラルゴにも嫌気がさしていた彼女はこれに答え

もし、ディスコ・ヴォランテ号に核が積み込まれたらデッキに降り立つという約束をした

ボンドはそのためのガイガーカウンターを彼女に渡した

 

そして犯行声明文に書かれていた実行日に

カリブ海に沈んだお宝を探す名目でディスコ・ヴォランテ号は出発した

ボンド、ライター一行はアメリカから到着した原子力潜水艦マンタ号でそれを追跡することになった

デッキに現れないドミノに裏切られたかと不安になるボンドであったが

とりあえず、マンタ号は核のターゲットと予測されるミサイル基地の方に向かった

 

予想は的中し、基地周辺で不審な動きをするディスコ・ヴォランテ号を発見し

海中で核兵器をターゲットに運んでいるラルゴの部隊に向かい

ボンド、ライター率いる水中軍がマンタ号から飛び出したのだ

だがしかし、相手の装備の方が優れており苦戦するボンド軍

そして、この状況に危機を感じたラルゴは証拠隠滅で核を海底の深い場所に落とそうとしていた

 

ラルゴを追いかけるボンドは格闘になるが、首を絞められ危機に陥ってしまった

だがその手から力が抜けていくのを感じたボンドが見たものは首に銛が刺さったラルゴであった

その後ろには水中銃を持ったドミノがおり、兄の敵を討ちボンドを助けたのであった

デッキに出ると約束した彼女は船内でガイガーカウンターを使用しているのが見つかって

ラルゴに監禁されていたが、見事にそこから脱出し装備を身に着け海中へと飛び出したのであった

 

こうしてスペクターによる核の大災害を阻止したボンドは戦いの負傷で入院していた

そして、もう一人の功労者であるドミノ・ペタッキもその病院の別室で傷を癒していた

本来、患者が他の部屋に行くのは許されないがボンドの強い要望により

ドミノの部屋に行くことを許され、二人は勝利の余韻と甘い時間を堪能するのであった

 

 

 

007/サンダーボール作戦 amazon kindle版
007/サンダーボール作戦 amazon kindle版

 

Leave a comment

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です