007「死ぬのは奴らだ」~小説版


概要

小説版「死ぬのは奴らだ」はイアンフレミングの007シリーズの第二作目である

同映画の原作になっているばかりか

「ドクター・ノオ」「ユア・アイズ・オンリー」「消されたライセンス」の映画版にも影響を与えている

 

ドクター・ノオ

ジャマイカを舞台としておりストラングウェイズ、クォレルは映画「ドクター・ノオ」で活躍することになる

その後に公開された映画「死ぬのは奴らだ」では

ジャマイカは以前使われたことでサン・モニク島という架空の島に変更され

クォレルに代わり息子のクォレルJr.が登場することになる

 

ユア・アイズ・オンリー

この映画で使われたボンドとメリナが海中を引きずり廻される拷問シーンは

この小説から引用されているのである

 

消されたライセンス

同映画でフェリックス・ライターが鮫に足を食いちぎられてしまうシーンがあるが

イアンフレミングの小説版では早くも二作目にして鮫に襲われてしまうのである

 

登場人物

主要人物は除き映画版と関わりそうな人物を紹介します

 

1.ミスター・ビッグ

アメリカとジャマイカを拠点とする黒人マフィアの大物である

ソ連のスメルシュとも関係があり

ヴードゥー教の崇拝神であるサメディ大公の生まれ変わりや、サメディ本人とまで噂されている

よって原作では映画版で異様な存在を放ったサメディ伯爵は登場しない

映画版と異なりミスター・ビッグというだけあって、かなりの巨体の持ち主なのである

 

2.ティーヒー・ジョンソン

ミスター・ビッグの部下であるが、映画版と違いそんな目立った登場はしてこない

ワニ好きが過ぎて片手がフック船長状態になっている様子もないのである

 

3.ロバー

こちらは映画版で登場していないと思われるが

倉庫の管理人をしており盟友フェリックス・ライターを危篤状態まで追いやったのがこの男なのだ

 

4.ソリテール

ハイチのキャバレーでビッグが出会い、人の心が読めたりと不思議な力を持つ

それ以来ビッグがスポンサーとなるのだが、彼女はその生活を喜んではいない様子である

その能力ゆえにハイチで世捨て人を意味するソリテールと呼ばれている

映画版のソリティアと違いタロットカードは使用していないが、トランプのカードを使う場面はある

原作ではボンドと彼女は出会った瞬間に恋の予感を感じたのだ

 

5.ストラングウェイズとクォレル

英国諜報部のカリブ海域主任と地元の漁師の二人はジャマイカで007をサポートする

映画「ドクター・ノオ」にも登場する二人である

 

ストーリー(ネタバレあり)

Mの指令により007ことジェームズ・ボンドはアメリカ合衆国にいた

FBIとCIAの合同調査でアメリカ国内の黒人街で流通している金貨についての調査であった

その金貨はジャマイカの「血まみれモーガン」という財宝らしく

FBIは国外に手をだせないためCIAのフェリックス・ライターとジャマイカ方面を任されたのである

黒幕の目星は大方ついており、ソ連とも関係が深いミスター・ビッグという

ハーレムを取り仕切る黒人マフィアのボスだというが決定的な証拠が出ないらしいのである

ジャマイカとアメリカを航行するビッグの船を念入りに調査しても金貨を持ち込んだ形跡はないのであった

 

手始めにボンドとフェリックスはビッグの息のかかるハーレムの歓楽街に情報収集に向かうが

その街での行動はミスター・ビッグに筒抜けであり、二人は逆に捕らわれてしまったのである

ボンドはビッグにソリテールという女性を紹介されるが、彼女も助けを求めてるようにも見える

そしてティーヒーに指は折られたが隙を見てそこから脱出し

別に拉致されていたフェリックスも大事に至らず脱出したとの連絡があった

 

その時手下の黒人三人を殺害したボンドはFBIとミスター・ビッグに目をつけられ

用心してフェリックスとは別々のルートでセント・ピータースバーグに向かうことになった

そこはジャマイカから到着するビッグの船が到着する町であった

 

翌日、ジェームズ・ボンドとソリテールは夫婦の設定で電車に乗っていた

朝方ビッグの元から脱走したとソリテールから電話があり

最初は敵の罠と疑うが、もう後が無いボンドはこれに賭けてみることにしたのだ

途中、敵の狙いすました車両爆破等あったが

それも上手く回避しフェリックス・ライターとセント・ピータースバーグにて合流した

 

まず二人は船の到着する生き餌倉庫に向かうが、その間に宿に残したソリテールが誘拐されてしまう

その夜、やりきれなくなった二人は酒を飲むが

朝方ボンドはフェリックス・ライターが一人でそのロバーが管理する倉庫に向かったという手紙を発見する

敵の罠で病院に向かうがそこに彼はおらず、宿に戻ると包帯でぐるぐる巻きのフェリックスを発見したのである

鮫に襲われ顔面と左半身は見る影もなかったが、命だけはとりとめたのである

これに怒り心頭のボンドはその夜ロバーの倉庫に向かい

フェリックスの敵を討ち、問題の金貨の隠し場所まで発見したのであった

なんとそれは危険な毒魚が泳ぐ水槽の下の泥の中に隠されていたのである

 

ジェームズ・ボンドはその水槽の輸送元であるジャマイカに向かい、現地で活動するストラングウェイズと会った

彼の話によると財宝はサプライズ島に眠っていると言われ、そこは最近Mr.ビッグの子会社が買収したらしい

そして珍しい魚等をここからアメリカまで輸送しているという

これで毒魚で守られた金貨の密輸方が判明し

ボンド、ストラングウェイズは現地を熟知する漁師のクォレルと船の停留するサプライズ島に狙いを定めた

 

この島は近づくとヴードゥーの太鼓のリズムが響き、鮫やバラクーダーに襲われることで恐れられていた

だがあえてボンドは潜水服を身にまとい、船底に時限爆弾を仕掛け出航後に爆破させる方法を取った

唯一問題なのはビッグに連れ戻されてしまったソリテールの存在である

 

潜水し船底に爆弾を仕掛けることに成功した後、バラクーダーに肩の部分を食われてしまうが

避難できそうな洞窟を発見し奥へと進むボンドはそこが財宝が眠る場所へとつながっていることに気付いた

だがその岩の部屋でミスター・ビッグに捕らわれてしまい

ソリテールと船で繋がれたまま獰猛なバラクーダーが泳ぐ海を引きずり廻される拷問となってしまった

だが船外にいるということは逆にチャンスでもあったのだ

 

金貨密輸船セカター号は二人の人間を引きずりながらアメリカへと出航した

岩や珊瑚に衝突し呼吸もままならない状況でボンドはただその瞬間を待っていた

そしてもの凄い衝撃に襲われ海面に顔を出すとセカター号は木っ端みじんになっていたのである

セットされた時限爆弾で生き残ったビッグも結局バラクーダーに喰われ

ボンドとソリテールは救出され無事に激務をまっとうしたのであった

 

南国気分を味わう二人の元にMからの電報が届いた

そこには財宝の採取権はジェームズ・ボンド名義で登録した旨が書かれていた

そして最後はこう締めていた

「14日間色休暇を与える」

 

007/死ぬのは奴らだ 007シリーズ
007/死ぬのは奴らだ 007シリーズ

Leave a comment

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です