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007「スペクター」と小説「オクトパシー」~蛸にまつわる話


映画版007の第24作目の「スペクター」にはボンドの過去を知るに当たって重要なキーマンが登場する

それは雪崩事故で死んでしまったボンドを引き取った義理の父の息子である

いわばボンドにとって義理の兄にあたり、傷ついた彼の心には本物の兄のような存在であったであろう

その義兄の名はフランツ・オーベルハウザーといい

自らその存在を消し去り、ブロフェルドという名前でスペクターという巨大組織を作り上げていくのである

 

このスペクターのシンボルが蛸のような形をしており、本作でもそのリングが登場したり

主題歌の流れるオープニングのバックにも蛸がここぞとばかりに登場しているのである

実は映画版には登場しないが

イアン・フレミングの原作では「オクトパシー」でこの義兄にあたる人物が登場し

そのシンボルである蛸の謎のヒントが含まれているので紹介したいと思う

 

ジャマイカで生活するデクスター・スマイス少佐は妻に先立たれ

過去の呪縛に捕らわれながらも残された人生を生きていた

そんな彼の元にロンドンからジェームズ・ボンドという男が現れたのであった

この男はスマイスに戦後ドイツ、オーストリアで務めていた雑務処理について聞きたいことがあって来たという

 

実はこのスマイス少佐は当時たまたまナチスの金塊を示す文書を発見してしまい

ハンネス・オーベルハウザーという山案内人をナチス加担の疑いで逮捕し

その金塊のありかまでの険しい雪道を案内させ

証拠隠滅のため殺害し、厚い雪で隠したという過去をもっていた

そして、ジャマイカにてその金を切り崩し悠々自適に生きていたのであった

 

証拠が出そろいその罪をボンドに認めることになったが、スマイスには一つの疑問が残ったのである

なぜ彼がこの任務を担当したかである

するとボンドはこのオーベルハウザーというのが自分にスキーとかいろいろ教えてくれた友人であり

まるで両親のいない父親的存在だった

と答えたのであった

このやり取りでボンドは帰ってしまうのだが、一週間後にはスマイスの元に強制送還の人間が来ることになった

 

その後、スマイスは日課である海に向かうのだが

今まで仕留めていたさそり魚に刺され、その毒が全身をめぐることになり

いつも挨拶をする蛸に近寄ると、そのまま彼の体に絡みつき引きずりこまれ帰らぬ人となってしまったのだ

 

こんな内容であるが義兄であるオーベルハウザーも登場し

まさに彼が死んだ後も蛸になり、このスマイス将軍を引きずりこんだかのようである

そして映画のオープニングでもこの蛸と一体化した蛸人間の姿を確認することが出来るのである

興味ある方は是非確認して欲しい

 

ちなみに映画版「オクトパシー」のオクトパシーはこのスマイス少佐の娘の設定になっているので

ボンドの敵の娘になると言えよう

 

 

 

 

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