007「オクトパシー」小説版


概要

イアンフレミング原作の「オクトパシー」はシリーズ第14作目であり1966年に執筆された最後の作品である

内容は「オクトパシー」「所有者はある女性」「ベルリン脱出」の三部から成る短編集であり

「オクトパシー」と「所有者はある女」が映画版「オクトパシー」に

「ベルリン脱出」は映画「リビング・デイライツ」の元になっている

また本作は映画「スペクター」のブロフェルドにも若干関係していると思われる

 

登場人物

1.ジェームズ・ボンド

ジャマイカにて生活するスマイス少佐の元を訪れる

彼がかつて行った犯罪の証拠が浮上し、その件について尋問するためにである

そんな過去に埋もれた事件を掘り返すことで白黒つけたいことがボンドにはあったのである

 

2.デクスター・スマイス少佐

かつては勇気と機略を持った英国将校であったが、今や見る影もなく酒に溺れている

ジャマイカで生活し海中生物と触れ合うのが日課となっているが

妻にも先立たれ過去に犯した罪に怯える毎日を送っているのである

 

3.ハンネス・オーベルハウザー

キッツヴューヘルの腕利きの山案内人であったが

スマイス少佐と出会ったことにより、その運命が急変してしまう

彼はなんとジェームズ・ボンドの身近な人間であったようである

 

ストーリー(ネタバレ有り)

ジャマイカに住むデクスター・スマイス少佐の元にある日ジェームズ・ボンドという男が現れた

スマイスはかつては勇気と機略を持ったイギリス海兵隊の将校であったが

二年前に妻メアリーに先立たれからは海で魚と親しくなるような生活をしていた

どこか後ろめたい雰囲気を持つスマイス少佐はイギリスの政庁から来たという男に嫌な予感がした

ジェームズ・ボンドは戦争末期に少佐が情報部でやっていた仕事について聞きたいことがあると言った

そしてボンドの口からハンネス・オーベルハウザーの名を聞いたスマイスは身震いし

「キングストンのフー兄弟と話しをしてきたのでよく考えてもらいたい」

と言い残したボンドはスマイスをその場に取り残したのであった

フー兄弟と話しているなら、これ以上は隠し切れないとスマイスは観念し始めた

 

彼は遠い昔を思い出していた

ドイツとの戦争も終盤を迎えるとスマイス少佐は雑務処理をメインとするMOB部隊についていた

ある日、少佐が書類に目を通しているとたまたま資金と書かれた封筒を発見した

なんとそれはドイツの金の延べ棒の隠し場所であり

キッツヴューヘルの雪山で危険ではあるが、そこからはすぐ近くであった

 

早速、彼はオーベルハウザーという腕利きの山案内人を逮捕して

無実にさせる代わりになにかと口実を付けて、その雪山を案内させたのであった

金のある目的地に近づくとスマイス少佐はオーベルハウザーの後ろから拳銃を撃ち

断崖から落下するのを確認した

金の延べ棒を無事に手に入れたスマイスは遺体の上に雪をかけて、この場を立ち去ったのであった

 

その後、イギリス海兵隊を辞任した少佐はメアリーという女性と結婚し

ドイツ国立銀行の刻印を削った金の延べ棒を彼女に見せて、ジャマイカで生活することになったのである

延べ棒の現金化はキングストンのフー兄弟に任せ

定期的に入る金でスマイス夫妻は悠々自適の生活を送ったのであった

だがそんな幸せも長くは続かず、夫婦喧嘩で睡眠剤を多量摂取した妻が死んでしまい

死ぬまで飲んで暮らそうと思っていた矢先のこのボンドの訪問であった

 

スマイス少佐はこのジェームズ・ボンドという男に全て白状し

そして秘密情報部の人間がどうして直に現れたのか疑問に思ったスマイスにボンドはこう言った

ハンネス・オーベルハウザーはボンドが十代のころの友達であり

父親がいなくなってしまった彼にとって、実の親父のような存在であったというのであった

一週間くらい後に本国送還の人間が現れることを告げたボンドはその場を立ち去った

 

一週間の猶予を与えられたスマイスは妻を失ってからの日課である海に向かった

毒を持つさそり魚を銛で捕まえたが、彼はみぞおち付近に違和感を感じた

さそり魚は捕まる前に彼を刺し、スマイスはしびれと痛みに苦しみ出した

もう時間が無いと察した彼は本来の目的を思い出して先に進んだ

到着した先には章魚(オクトパシー)がおり、スマイスがここ二か月くらい手名付けようとしていたのだ

彼は毒を持つさそり魚をオクトパシーに与えたらどうなるかと疑問に思い、獲物が刺さった銛を近づけた

だが章魚の触手はさそり魚ではなくスマイス本人を引きずりこみ

彼は二度と帰らぬ人になってしまったのであった

 

 

007/オクトパシー amazon kindle版
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